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故郷の雨 ――淡路市長―― 門 康彦

愛と正義の政治家、『砂楼の伝説』の著者でもある詩人 門康彦淡路市長の『故郷の雨』ネット版を、順次紹介してゆきます。

神話の故郷の自由な風と矜持

 希薄ではあるが確かに吹いていた自由と矜持の風。それが津名高校のいわばスタイルであった。太平洋戦争敗戦の年に生まれた子供達が入学した年、第二室戸台風が襲来し、淡路町の新町役場の位置問題で全国異例の処置で分町、飛地合併の措置が取られた。高校生活波乱の幕開けではあったが、のんびりとした校風は悠揚として揺るぎが無かった。

 津名中学校が統合されるまで、志筑小学校、志筑中学校、そして津名高校と小中高が隣接してあり、野球、サッカー、陸上、そしてテニスのクラブ活動が混在しているグランドの北側に自宅があった。隣が校長校舎、その隣が武道場で道路を一跨ぎすれば学校という環境の中で、子供の頃から津名高校の歴史を垣間見てきた印象は、潮風の香りと緑。
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 三、四才の頃、裸で、自宅に飼っていた山羊を津名高校のグランドで散歩させている姿を当時、高校生であった姉が見たという程の田園風景が広がっていた学校であった。これと言う確固たる成果を要求される校風では無く、勝手気儘に近い自由と根拠の無い矜持を育むような大らかさに満ちた気風があり、その中で子供達は大きくなった。当時、進学の嵐が吹き始める最初の頃で、進学優先の独りよがりの試行錯誤の結果、卒業必修の追試験を職員室で受けていて、卒業式に出る事が出来なくても、我一人行かんという大らかな風が校舎を静かに流れていた。何者にも屈せず、あれほど気骨であった自由人の少年達も不惑を遙かに過ぎて、この千年期の節目の年に今一度の飛翔を祈念する。諸君、明日に向かって一歩踏み出そう。
                                            平成14年7月
                ――県立津名高校昭和三十六年~三十九年――
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  1. 2007/10/24(水) 10:49:14
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