故郷の雨 ――淡路市長―― 門 康彦
愛と正義の政治家、『砂楼の伝説』の著者でもある詩人 門康彦淡路市長の『故郷の雨』ネット版を、順次紹介してゆきます。
28人の議会 第3回淡路市議会開会あいさつ
第3回淡路市議会の開会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。本日ここに、新しく選ばれた議員各位をお迎えし、謹んでごあいさつ申し上げる機会を得ましたことは、誠に喜ばしいところであります。
各位には、去る7月3日に執行された市議会議員の選挙に当たり、市民の輿望を担ってめでたくご当選の栄を得られ、本日ここに初の議会を開会する運びになりました。市政のために今後とも、ご健勝にてご活躍を祈念いたします。

さて、現行地方自治制度が発足してから既に57年を経過し、その間住民福祉向上のための諸制度が整備充実されるとともに、これまでの先輩各位のたゆまぬご努力により、市政の堅実なる発展を見ておりますことは、誠に喜びに堪えないところであります。
私といたしましても、住民福祉の増進のため渾身の努力を傾け、市民の目線で市民サービスに務めてまいります。
議員各位には、何卒温かいご理解をいただき、市民の福祉と市政の進展のため格別のご指導・ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第でございます。
さて、平成17年度の行財政各般につきましては、去る6月の改選直前の議会におきまして私からご説明申し上げ、ご議決をいただいている所でありまして、引き続きご当選の各位には既に具体的内容についてご承知いただいているところでありますが、この機会にあらためまして、所信の一端を述べさせていただき、議員各位のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
鳴門海峡と明石海峡の架橋により、島が島でなくなり、戦後生まれの世代が初めての還暦を迎え、阪神・淡路大震災から10年を経過した節目の年に、私たちの「新生・淡路市」が誕生しました。
「震災の島」から「花の島」へと、淡路地域の一端を担う淡路市としても、その責務を果たすことが極めて重要であると認識しています。
私は、市政の根幹となるものは、市民本位の、民主的な膚で触れ合う政治を基本としたまちづくりにあると考えています。
このためには、市民との対話を通じながら、常に市民の目線で市政を考え、ともに歩む姿勢で、市民の総意を反映した「まちづくり」を進めなければならないと考えています。
私は、市役所の執務室から、ふと振り返って見る広大な埋立地と海に、「新生・淡路市」の大きな可能性を感じています。

そして、五つのそれぞれの特性を持った地域を一つの行政体として運営するには、三つの必要事項があると考えています。
一つは、信頼関係の構築であります。
そのためには、淡路島全体の視点から情報を共有し、相互に連携するシステムが欠かせません。
二つには、無用のしがらみをたつために、市民が生活圏と行政圏を区別して考えることが必要です。
三つには、夢です。
「明石海峡大橋の無料化」は、近未来への挑戦であり、島民への意識の警鐘でもあります。
勿論、そのために生ずる「負の部分」への対応も同時に考えなければなりません。
「誰にも見せない涙」という言葉があります。
自分だけのことを考える人には、その涙は流れません。
相手の痛みを共有しながら、淡路市を考え、市民であると同時に市職員として行政サービスに努める思考と行動を今後とも維持し続けることが、その「負の部分」に対処するときに必要ではないでしょうか。
最近の行政には、そうした「心の交流」が希薄になっているような気がします。
当分の間、良いか悪いかは別として、大都市特に東京への集中が続きます。それに対峙する形で地方は存在しています。
大都市に象徴される活性化と繁栄は、結果として、田舎、地方の犠牲の上に立っていると言っても過言ではありません。
それはまさに「持ちつ持たれつの世界」なのです。
互いが協調しなければ、栄えた文明が消えた歴史の轍を私たちは踏むことになるのでしょう。
私たちの新しい淡路市は、すばらしい独自の特性を持っています。明石海峡大橋、淡路夢舞台、震災記念公園、伊弉諾神宮、そして市庁舎の埋立地、これだけではありません。








歴史と文化に彩られた地域社会の生活文化があります。
それらと、行政サービスを連携させて、未知の領域へ市民とともに、一歩を踏み出し、将来に備えたいと思っています。
ところで、本市の財政状況は、バブル崩壊後、長引く景気の低迷や国による減税の実施等により、税収が減少し、また、阪神・淡路大震災に係る復旧・復興事業の推進、更に前年度の度重なる台風災害の復旧事業の対応により、財政状況が極めて悪化しています。
こうした財政状況の悪化に対して、各種基金の取り崩しや、行財政改革で避難的に対処してまいりましたが、ここ数年来の税収の落ち込みや、地方交付税の減少により、なお一段と厳しい財政運営を余儀なくされています。
また、少子化の流れとともに、総人口に占める高齢者比率は、急激に上昇し、10年後には33・3%と予測されています。
今後は、保健・医療・福祉に対するニーズの増大と、多様化が予想され、一方、生産年齢人口の減少に伴う社会・経済活動の沈静化や税収減が危惧されます。
そのため地方公共団体には、子育て環境の向上や、医療・福祉サービスの効率的な提供のみならず、健康な高齢者が生産者として地域社会に貢献できるシステムを構築する必要があります。
そこで、私たちの淡路市に目を転じてみますと、大都市に近接している点を活かして、島であるが故の発展の限界を克服しようと、道路・交通網等の社会基盤の整備が進められてまいりました。
特に、昭和60年の大鳴門橋の開通により、津名港は、四国と京阪神を結ぶ最速ルートの中継点としてにぎわいをみせました。
その後、平成10年に明石海峡大橋の開通により、淡路島は、本州、四国と「地続き」になり、市の北部地域は、淡路島の北の玄関口としての役割を再び担うようになりました。
平成7年1月、阪神・淡路大震災により、市の全域で、大きな被害に見舞われましたが、平成12年には、旧東浦町、淡路町境の土砂採取跡地に、「人と自然のコミュニケーション」を理念に掲げた「淡路花博ジャパンフローラ2000」が開催されるなど、震災からの創造的な復興、そして、自然との共生に向けた取り組みが積極的に行われ、新しい時代の淡路島のゲートシティとして、注目を浴びています。
この様な大きな変化の渦の中にありまして、心身ともに健康で充実した生活を送る市民が、旅行者や新たな定住者、企業などを素晴らしい環境と温かい気持ちで迎え、更なる交流を促進し、活力溢れる「淡路のウェルカム・シティ」としてのまちづくりを進めることが、淡路市の発展につながるものと確信するものであります。
これにつきましては、幾つかの考えを述べさせていただきます。
新市のまちづくり計画にある基本方向として、一つ目は、「すべての市民が健康で笑顔が輝くすこやかな都市づくり」であります。
誰もが、いつでも、いつまでも「健康」・「安全」・「快適」な生活が送れるよう、子育て支援や教育に始まり、保健・福祉・医療の充実を図るとともに、「いつまでも元気に活動できる」生活環境の創造に向けて、旧5町で蓄積してきた様々な取り組みを発展的に継承し、拠点の更なる充実、ネットワーク構築によるサービス体制の強化を図ります。
二つ目は、「うるおいある暮らしを実現するいきいき定住都市づくり」であります。
住民が、それぞれのライフスタイルに合わせた生活を送るため、道路や下水道、情報基盤を整備して、魅力ある定住環境の維持、充実をすることが必要不可欠であります。
また、市民と行政、或いは、市民同士の交流を深めるために、情報通信基盤の整備を積極的に推進してまいります。
三つ目は、「豊かな自然・文化を活かす魅力満載都市づくり」であります。
本地域では、三方を海に囲まれ、古くから漁業が盛んに行われていたほか、温暖な気候に恵まれ、内陸部では、野菜や果樹、花卉の栽培が盛んなど、自然と強く結びついたライフスタイルを確立してきました。
また、「国生みの地」として、歴史や文化遺産、豊かな自然環境を活かした観光産業も近年注目が集まっています。
空洞化が進む中心市街地の活性化対策を積極的に推進するほか、地場産業の発展にも積極的に取り組み、若者のU、I、Jターンに対応できる雇用環境を創出し、魅力ある自然共生都市づくりを目指します。
四つ目は、「コミュニティが融合する市民交流都市づくり」であります。
本地域では、都心部では希薄化してしまったコミュニティの結束力や独立力が強く築かれ、自治意識の旺盛な住民たちが独自の文化を育んできました。
市においても、各コミュニティの独自性を最大限に保持しながらも、お互いのコミュニティの文化を尊重し合い、市の市民としての一体感を共有できる、コミュニティ間の連携を交流を推進していきます。
以上のとおり、これらの新市のまちづくり計画にある基本方向に沿いながら、当面の問題を解決するためのスケジュールを作成し、着実に「淡路市づくり」を進めてまいりたいと考えております。
何と言っても、職員各位を始め、市民の皆さんの声に、真摯に耳を傾けながら、職員ともども一丸となって、これらの施策の展開に全力を傾注し、「淡路市の活性化」の実現に向け、邁進する所存でありますので、今後の市政運営につきましては、議員各位の格別なご指導、ご鞭撻とご協力をお願い申し上げまして、開会のあいさつといたします。
平成17年8月
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