故郷の雨 ――淡路市長―― 門 康彦
愛と正義の政治家、『砂楼の伝説』の著者でもある詩人 門康彦淡路市長の『故郷の雨』ネット版を、順次紹介してゆきます。
「淡路市2年目」
昨年、想定内という言葉が流行りました。その言葉を借りるなら、合併した淡路市は、長く行政に係わってきた私にも「想定外」な事が多々有りました。2年目の当初に当り、「資産の見直しと再整備」の観点から、組織と予算を議会に提案しました。今回は、その考え方についての概要をお知らせします。

まず組織の再整備ですが、危機的な財政状況を踏まえ効率的な行政運営を目指し、事務の合理化、効率化そして、職員の定員適正化を図ります。
新設の主なものとしては、財政基盤の再構築を目指す「行政改革推進部」、企業誘致、明石海峡大橋無料化等の交通体系を見直す「まちづくり政策課」、掌握事務を明確にし市民サービスの向上を図る担当課として「生活環境課」「商工観光課」「水産振興課」「都市計画課」「税務課徴収係」等。
統廃合等の主なものとしては、職務の明確化を目指し総務部財務課を「総務部財政課」と名称変更し、用地売却をネットオークションする等による柔軟広範な活動を目指します。また新予防事業に関するケアマネージメント業務を図る「地域包括支援センター」の設置をします。集約するものとして、「下水道部」「水道事業部」「建設課地籍調査係」。一括管理するものとしては、「戸籍管理業務」、選挙管理委員会・監査委員・固定資産評価審査委員会の「事務局の統合」、教育委員会は、総務課を新設し学校教育事務を本庁に集約等します。
いずれにしましても、近隣他市よりは、150から200名は多いと言われている人員の適正化が急務です。

さて、予算についてですが、まず、平成17年度の決算見込みから見なければなりません。確定するのは、5月末ですが、今のところ何とか赤字にはならない見込みです。
「身の丈に合った市作り」を目指し、収入の促進、支出は、合法常識の範囲内で削減し、身近なところ、年賀状等不要不急の挨拶状等の廃止、市長公用車等の売却等から始めた結果、財政調整基金は10億円は取り崩したものの、何とか、普通会計トータルでは、17年度末、基金残高は前年の約4分の3の30億円弱を確保し、18年度の予算に引き継ぐ事ができました。
そうした結果、何とか18年度の当初予算は編成することができましたが、内実は、非常事態です。10億円規模の一般財源に不安定要素が有ります。という事は、19年度には最悪の場合、20億円規模の財源不足が予想される分けで、通常の削減政策では維持出来ません。言われるところの、縮小を覚悟で質を高める「縮合政策」が私達の淡路市に求められます。その事が淡路島全体にとって将来の均衡有る発展に繋がるのです。
災害対策の予算が一応落ち着き、一般会計ペース306億円と、まだ膨らみ気味ながら通年ペースの予算に落ち着きましたが、その厳しい中でも工夫の有る新規事業を紹介します。
整備費関係としては、本庁舎用地購入費、生穂漁港改修、津名マレットゴルフ場整備、北淡県民サンビーチ施設整備事業、一宮河合縦貫道安全対策事業、北淡石田常隆寺2号線改修、釜口12号線整備事業、津名大谷生穂新島まちづくり交付金事業、岩屋市民農園整備事業等を実施し、建物関係としては、給食センターと一宮体育館の整備準備にかかります。福祉対策の一貫として、志筑小学校にエレペーターを設置します。
将来の北淡津名を最短で結ぶ道路として、興隆寺中央線も計画準備に入ります。この他合併により市内の連携を推進する意味で、西、東海岸を結ぶ道路の新設等を進めます。

定住対策の一環として、市営住宅のあり方等を検討する、民間賃貸住宅調査事業を実施し、島外からの転入の促進にも努めます。
また、県事業として、長年の懸案であった、志筑川の改修、上内膳津名線の塩尾入口付近の拡幅改修が着手され、合併支援道路整備と併せ、安全安心の市作りも進みます。
イベント的なものとしては、プロ野球球団キャンプ誘致、観光イベントとして薪能、国営明石海峡公園等とのジョイント花火大会等を開催する一方、地場産業育成の観点から、地場産業新分野進出・新製品開発支援事業、瓦屋根工事奨励金事業等も実施します。
こうした事業を円滑に推進するため、事業評価検討委員会、学校・保育所等統合検討委員会等も設立します。
こうした他、津名地区に淡路島に初めての医療系の大学が開校、病院や養護老人ホーム、グループホーム等の計画の他、未利用地に数々の新規出店等の計画もあり、徐々にではありますが、淡路市にも停滞していた経済にそよ風が吹き初めています。
ただ、「国の改革に影の部分が見え始め、年金生活者に厳しく、地方切り捨てで、村(故郷)が消える」と言った悲鳴も市民から聞こえてきます。
歴史に学び、利己的な党利党略にとらわれる事なく、今こそ志を高く、全体の市民に対する責務として、セーフティーネットの構築に努めます。

残念な事も報告します。津名港へのパールライン復活を洲本市と協議していましたが、課題の解決に日時を要するため18年度は見送りました。その代わり、交流の翼港に神戸空港からの船が寄港するよう努めています。
総合事務所制度をとった淡路市、共和国の利点と、経済格差、人口流失を逆手に取り市の機能を縮小再編する事で、身の丈に合った持続可能で質の高い行政サービスの実現を目指さなければなりません。
淡路市の市民意識の一体化、少子高齢対策、災害対策そして財政再建の喫緊の課題、それらを踏まえた上で、各地域の印象を言葉で表せば、淡路と東浦は「交通の核と夢舞台群」、北淡は「一次産業と震災公園」、一宮は「お線香と歴史」、そして津名は「行政の核とスポーツ公園」。色々な見方が有りますが、いずれにしましてもそれらを有機的に連携し調和が取れた時、淡路市は初めて別の意味で、3市時代のスタート地点に立てたと言えます。
今回の合併は、デメリットの解消が目的であり、将来の自立が具体の夢であるといった観点からも、明るい淡路市を目指して共に頑張りましょう。
なお、具体の改革等の計画につきましても、市長の部屋等で明らかにしていきます。
広報淡路・市長の部屋 平成18年4月号
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