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故郷の雨 ――淡路市長―― 門 康彦

愛と正義の政治家、『砂楼の伝説』の著者でもある詩人 門康彦淡路市長の『故郷の雨』ネット版を、順次紹介してゆきます。

戦略調査への期待

 「そのとき歴史が動いた」という言葉が、偶然ではあるが、新生県民局の誕生と期を一にして現在の淡路地域にあてはまる。過疎、少子、高齢化の現実にどう対応できるかが、課題のポイントである。

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 その他にも課題は尽きないが、特に重要なことの一つは、故郷、淡路島の活性化。帰郷して見た洲本市の現状からは悲観的な思いしか出てこない。明石海峡大橋の架橋効果は、島人に飛躍的な利便をもたらし、物理的に島的状況でなくなった結果、通勤通学は島内外を問わないことにもなった。島から企業が社屋を引き上げ、単身赴任者の姿も消しつつある。本四道路を利用した交通手段だけが活性化し、今まで、時間、距離に守られていた地場産業等がその存在自体を見直さなければならなくなった。

 単純な機能的見地からの活性化は、不可能に近い。そうした背景を感じながらも、方策を模索していた時、感性工学の弟弟子と言われている風土工学に出会いました。

 千年を要すると言う風土資産から、淡路島の魅力を再確認し見直すことにより、実践的な「地域活性化シナリオ」を策定する、風土工学的手法による淡路地域イメージ戦略調査事業に一縷の望みを託すことになったのです。

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 淡路は今、3市の枠組に向かって作業を加速させています。三つの集まりを風土的に表現するならば、南淡路は、農漁業を中心にした牧歌的で伝統文芸に裏打ちされた仲間意識の強い地域。中淡路は、唯一全国的ネームバリューのある洲本市を中心にして常にリーダーであった観光地としても歴史のある田舎的市街地の地域。そして北淡路は、生活圏、価値観等を異にしながらも、ある意味では個々に自立した、また、ファジーに近い感覚で相手を受け入れる都会的な地域と言うことになるのでしょうか。

 それぞれの地域の特性を活かした市域づくりが、何れは淡路は一つのイメージの完結として淡路島市を模索していくことになるのでしょうが、今回の戦略調査がその一つの契機になることを何よりも期待しています。

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 人、産業の集積による活性化だけではなく、量を質に変えた視点で淡路地域のイメージ戦略が、情報の発信による会話で、共有し相互連係しながら人間どうしの共感を創作し、それを信頼関係まで高めることにより環境に優れた地域として淡路市を完成させたいものです。それには、何より嘘やごまかしではなく、常に毅然としたぶれない姿勢が大切です。千年という何物にも変えがたい歴史、時間の重みそして人間の儚さを再認識させる風土工学的手法による戦略調査に、淡路島の美学の確立を期待します。
                 平成15年3月 兵庫県淡路県民局長
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  1. 2007/11/14(水) 08:36:47
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